第62章

北村健はテーブルの上のグラスを手に取り、ゆっくりと一口飲んだ。

佐藤央は突然、また一つのことを思い出した。「健、今回は本当に夏目彩のためなのか?」

明らかに、夏目彩が投稿したSNSの投稿も見ていた。ただいいねを押さなかっただけで。

佐藤央はSNS上では完全に透明な存在だった。

「おせっかいが過ぎるぞ。お前が今一番すべきことは、佐藤凛をちゃんとしつけることだ」北村健はその質問をかわした。

しかし佐藤央から見れば、それは認めたも同然だった。

佐藤央は思わず感嘆した。「恋愛って本当に不思議なものだな」

特別優れていなくても、心を尽くして愛してくれる人がいるものだ。

北村健はグラスを...

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